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院長談話 当院では与芝院長が当院運営に対する考え方をダイレクトに多くの職員に伝わるよう「院長談話」を定期的に配布しております。 多くの方に当院の運営方針をご理解いただくために談話の一部をご紹介いたします。不定期の連載ですが当院の考え方を感じていただければ幸いです。

院長プロフィール

第10回 DPCの矛盾

病院長 与芝 真彰

私は院長就任以来当院の経営の基盤を@DPCに沿った医療、A病院機能評価Ver.6を受審可能とする病院機能の日常的強化を掲げてきました。

DPCは我国の出来高払いによる医療費高騰の抑制のために2003年からアメリカの制度を真似て導入されたものです。外来は出来高払いですが、入院費は包括部分(入院中のほとんどの医療行為が一定額内に包括される)と出来高部分に分割されます。包括部分ではいくら医療行為をしても収入増にはつながりません。収入を増やす方法は入院費の高い病名をつける事と入院期間を全国のDPC病院の平均以内に抑えるしかありません。と言っても、余り入院費の高い病名が多ければ目を光らせている審査員の目に止まってしまいます。

一方、収益性を発揮するには手術、内視鏡検査など出来高で算定される部分をなるべく増やす事が有効です。従来当院は老人の長期入院が多くてDPCに不向きだったのですが、退院調整看護師の努力で入院期間が短くなり、当院もDPCに合致する方向に向かっている事が感じられます。但し、DPCにも問題があります。

例えば当院の循環器内科は心臓カテーテル検査やカテーテル治療に熱心に取り組んでいます。そこで出来高で算定される心臓カテーテルを受けた患者と受けていない循環器疾患で入院している患者の1日の入院費を比べると前者が後者の4倍位になるのです。これはカテーテル検査の費用が出来高として上積みされるからです。

カテーテルをしない心不全、不整脈などの人達も本来は同じ心臓病の患者として尊重されるべきであるし、治療にはカテーテル技術は必要なくても高い医学知識が必要です。消化器内科でも内視鏡の対象患者が重視される事になりますし、外科系諸科でも勿論手術対象患者が重視されるでしょう。尤も外科系は入院手術がなければ開業医と同じになってしまうので、手術を増やす努力は必要です。

このようにDPCに適合させるようにして、収益を増やそうとすると、包括部分のみの患者さん達が軽視する事になり、必要であっても包括される検査、投薬、注射などを控える事にもなりかねません。これは下手すると技術重視、知識軽視ないし、外科系重視、内科系軽視という偏った病院へ誘導する結果となり、また老人の長期入院は確実に邪魔者扱いされるでしょう。

手術を必要とする患者を効率良く診療し、その他の患者は入院させても入院期間を短縮し、使用ベッドを削減し、医療費を削減する。これはアメリカ型医療の真似です。DPCを経営の指針にする病院も多いのですが、DPCの抱えるこのような効率重視の医療が正しいか否かの判断も必要です。

※DPCとは

※病院機能評価Ver.6

 

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