洋上の船員の医療改善のために

船舶乗組員は、船員法の定めによって健康証明を受けた人が乗り組みます。

しかし、乗船後に病気やケガにかからないとは限りません。広い洋上を航行中、船内に急病人やケガ人が発生した場合、多くの船舶には医師が乗り組んでいませんので、陸上の無医村的状態になります。

広い洋上で活躍する多くの船員が、医療を受ける機会から見放されている状態を、少しでも改善しようと考え出されたのが「無線医療制度」です。

この制度は、船舶が航海中乗組員に病人やケガ人が発生したとき、衛生管理者等が陸上の指定された病院等に対し、無線通信で患者の病状などを知らせ、専門の医師から、その患者に対する救急処置等の指示や医療助言を受けられる制度です。

無線医療助言通信ハンドブック

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プリントアウトして保存版の無線医療助言通信ハンドブックとしてご活用いただけます。是非ご利用ください。

日本版(全28ページ※表紙含む)

英語版(the English edition)

無線医療助言通信とは

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無線医療助言通信は、昭和33年のILO(国際労働機関)総会の勧告に基づき、海上のすべての船舶に無線による医療助言を昼夜を問わず24時間体制で無料サービスしている事業です。

無線による医療助言とは、航海中に乗組員が病気やけがをした場合、船内における救急処置や患者の取り扱いについて、陸上にある特定の医療機関に無線通信により患者の症状その他の情報を送信し、専門の医師に助言を求め、医師から応急措置の助言や指示を受けることです。

船員保険会では、船員保険法第111条の規定に基づき、昭和38年4月1日より船員保険無線医療センター(横浜船員保険病院)・せんぽ東京高輪病院・大阪船員保険病院において無線医療助言通信を開始しています。

船員保険会の無線医療支援システムの特徴

取扱い施設

無線医療支援システムは財団法人船員保険会が運用しています。取扱い施設は、船員保険無線医療センター(横浜船員保険病院)、せんぽ東京高輪病院および大阪船員保険病院です。

システムの特徴

無線医療支援システムとは、船舶からの相談事例をコンピューターに取り込み、複数の医師による連携した助言が行えるように整備したシステムです。また、このシステムは、薬品、症例等のキーワードを入力すれば瞬時に必要な情報を検索することができます。

  

 

流れ

情報セキュリティ対策

洋上の船舶から寄せられる医療助言通信等の要請文には、船員の皆さまの個人情報が含まれています。無線医療支援システムでは、要請文のほか疾病等の受診歴やその他の重要な個人情報を、データとしてコンピューターシステム上に保管することとなります。そのため、このシステムを安全で有効に活用するためには、厳格な情報セキュリティ対策がとられなければなりません。 そこで、システムの運用にあたり、船員保険会は次のような対策を講じています。

A.情報の機密性を守る

未登録の医師や部外者が絶対に利用することができないように、無線医療支援システムを取り扱う医師をサーバーに登録し、登録医師に専用の鍵を配付、コンピューターが認証後、初めてシステムは動作を開始するようにしています。

B.外部からの不正行為を排除する

コンピューターウィルスに対しては、システム導入当初から各種の対策を講じながら、その排除に努めています。また、船員保険情報センターのサーバーに対し、外部からの侵入による情報改ざんや外部への情報漏洩などが起こらないように、コンピューターによる二重・三重の認証・確認のチェック機能を付加設置しています。

C.必要なときいつでも活用できるようにする

緊急で入る無線医療助言通信のために、支援システムが、必要なときにいつでも活用できるように、コンピューター事故防止の運用管理規程(または基準)を定めて厳重に管理しています。

洋上救急の要点

1.出動医師の専門分野の検討

無線医療助言通信によって大体の病状が判明していると、それぞれの専門分野の医師に往診を依頼することが可能になります。さらに看護師の同伴が必要かどうかの検討も可能となります。

医師の専門分野とは・・・
1.骨折を伴うような災害なのか→ 整形外科
2.頭を強く打撲した外傷なのか→ 脳神経外科
3.高血圧、脳出血のような疾病なのか→ 内科
4.心筋梗塞のような心臓に関するものなのか→ 内科・外科
5.腹痛や吐血を主とした内臓関係のものなのか→ 外科・他
6.他の眼科、耳鼻科、歯科などのものか 

上記の区別ができていれば専門医師の選択には大いに参考になります。 またこれによって持参する薬剤や衛生材料の準備が十分にできます。

2.患者のいる船の位置と航海方法、天候

船舶の位置と航海方向が非常に重要です。
海上保安庁の巡視船(ヘリコプター搭載)の行動可能範囲は、内地から1,500海里程度が限界と考えられます。
また、荒天の場合、救助船と会合できても患者を収容できないこともあり、 このような場合には特殊救難隊員による患者の移乗が済んでから医師の診察となります。

3.洋上救急の実際

無線医療助言通信によって医師の往診の必要が助言されると、船長から、もしくは船舶所有者等を通して海上保安庁への往診の要請が行われ、そこからさらに関連病院へ依頼されます。 往診が決定されても医師の乗った巡視船が出港するまでは数時間かかります。 また、ヘリコプターの夜間の発着は危険が伴うため、船との出会いはなるべく日中になるように計画されます。 往診の医師が病人のいる船舶に到着するまでの間の医療助言通信は、巡視船に乗り組んだ医師との間で行われます。
洋上救急を依頼される場合は[通信方法]を参照してください。

洋上救急患者質問表はこちらから