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現在地:ホーム福祉事業無線医療センター医療相談の要領

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医療相談の要領

患者に対しての応急処置方法を教えてもらうための相談ですから、 患者の症状を出来るだけ詳しく知らせる必要があります。どんな順序で知らせるか、その内容について説明します。 実際の医療相談には、医療助言通信書(P18)をご利用ください。

医療助言を求める通信文の内容

1.会社名(例:X X汽船あるいはY Y漁業など)

・船籍(国名)
会社名(船舶所有者名)は必ず本文に書いてください。会社名が漏れていると、問い合わせや連絡をしなければならない場合に支障をきたします。最近、船籍の不明な船からの通信が多くなり、英文かローマ字文だけでは船藉の区別が出来ず、調査分類上に支障を来しています。船籍は必ずご連絡ください。

2.職 種

船長、航海士、機関長、機関士、WO(運航士)、甲板長・ 部員、DPC(船舶技士,海技士)、操機長・手、機関部員、司厨長・員、 事務員、乗客、実習生などに区別する。 職種により、罹り易い病気もあり、回復したあと治療しながら働けるかどうか判断しなければならない時の参考になります。

3.氏名・性別

連絡と記録をするのに先ず必要です。何回も交信する時、複数患者が出た時、 別の船からの医療相談が重なって入電した時などに、 病院では氏名がないと区別出来ない事があります。過去の経過を問い合わせるのにも必要です。毎回記載する様にしてください。 性別は女性の場合だけ明瞭に記載してください。

4.生年月日−年齢もあればなお良い

人間ドックのデータを利用する時には生年月日が必要です。大正なら『タ』または『T』のように、昭和は『シ』または『S』のように書いてください。虫垂炎は若い人に多く、高血圧や心臓病・糖尿病は中高年者に多いなど、特殊な疾病のときは年齢が参考になります。

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5.発病時の状況(主な訴え)

発病した時にはどのような状態であったのか、どのような状態で怪我をしたのか、 その時の全身状態はどうであったのかと言うことです。意識があったのならばどういう風に苦しかったのか聞いてください。何処が痛むのか、どこかにしびれたところは無かったのか、この時の患者の全身状態 (バイタル・サイン=後述)の記録が必要です。応急処置は何をしたか、内服や注射には何をしたのか、それによってどう変わったのかを知らせてください。

6.現在の症状、与薬、注射、処置内容、質問の内容

この項目が一番大切です。患者からの聞き出し方は次の節にも説明してあるので参考にしてください。 今までの多くの通信例では発病しても直ぐには助言を求めないで、 一応何らかの処置をしてから、症状が回復しない時に初めて相談してくる事が多い様です。 怪我の場合には見えている創や出血している所ばかりに目を奪われていないで、他に隠れた打撲が無いかを確かめてください。頭痛、胸部、腹部等大事な内臓の打撲を見逃すことが多いようです。 衛生管理者は患者の苦しい所や痛いところに自分の手のひらを当ててさすってみてください。問題の場所の熱っぽさや硬さなど異常な所が分かるものです。 苦しんでいる患者から要領良く上手に聞き出して、その症状と経過、処置などを書きますが、それに加えて全身状態の把握をしてください。このために次に述べるバイタル・サインをチェックする必要があります。

バイタル・サインというものは次の10項目です。これを基礎生命現症と基礎生活現症とに分けて考えてください。
@:脈 拍 A:呼吸 B:体温 C:血圧D:意識の状態E:睡眠の状態F:食欲の状態 G:排泄の状態H:皮膚の状態I:体位・姿勢

基礎生命現症と言うのは生きてゆく者にとってなくてはならない現症、つまり脈拍、呼吸、体温、血圧の事です。脈拍数、呼吸数を一分間の数で表わし、その強さ、深さとリズムが整か、不整かなどの状態を表現します。
血圧は最高血圧と最低血圧を水銀柱の高さ(mm)で表わします。例えば(146/84)。血圧を測るのには背臥位でも座位でも良いが水銀柱の一番下を心臓の出口(大動脈の始まり)の高さにする。マンシェットの巻き方や聴診器の当て方にも要領が必要なので、日頃から練習しておいてください。 患者の状態によっては時間的な変動が激しいことがあるので、時間を追って何回も測定し、その度に記録してください。
体温は摂氏の温度で表わします。腋の下以外で測った時だけその場所 (舌の下とか肛門内とか) 明記してください。
脈拍、呼吸、体温などについては『正常』とか『異常なし』とだけ知らせて来る場合があります。測定した数字を知らせてください。
バイタル・サインが今は正常範囲であっても意識が回復しなければ、脳死も有り得るので、 応急処置をして慎重に経過を見る必要があります。

基礎生活現症というのは睡眠、食欲、排泄の状態の事で、意識のある患者からしか聞き出せません。 人間が毎日生活するのに必要な生理的なリズムです。 これが不調になるのは何か特別の状態か、病気があると見なされる時であり、他の症状と突き合わせながら判断することになります。
睡眠が十分でないのは、寝つきが悪いのか、全然眠れないのか、その原因として寝汗のためか、痛みのためか、心配事のためかなどを聞いてください。食欲が無い場合はどうして無いのか、吐き気のためか、むかつくためか、げっぷが出るからか、痛むからか、良く聞いてください。
排泄については尿と便があります。回数、性状、色、臭いまで調べれば十分です。
特に腹痛の時には必ず紙コップなどの容器に尿を受けて性状を観察してから捨てるように心掛けてください。小さい尿路結石が排出されたのを見落す事があります。排泄と痛みの関係も大切な症状です。
意識状態の分類を4通り覚えてください。

@清 明=普通の正常な状態
A半昏睡=刺激が無ければ直ぐ眠り込む状態(傾眠も同じ)
B昏睡=どんな刺激を与えても反応しない状態
Cせん妄=意識障害があり会話不能であるが、精神状態だけ活発で、興奮と幻覚のある状態

船からの通信で詳しく症状を教えられた場合でも、直接診断が出来ない為どうしても推定診断にならざるを得ません。そのためにも質問の内容を出来るだけはっきり書くようにしてください。
皮膚の状態と体位とは意識の有無に関係なく観察出来ます。皮膚の状態とは皮膚の色(黄色 ・蒼白など)、汗のかき具合、湿り具合、 弾力性等をいいます。
体位とは病人の寝ている姿勢です。 仰臥位か、右側臥位かなどあり、胸や腹があまりに苦しくて横になって寝ておれず座ってあえいでいることもあります。
患者は一番楽な姿勢を取ろうとするものです。

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7.既往症

乗船する前から持っている慢性疾患や、そのために常備薬を持っているような病気があるならば、必ず書いてください。 高血圧、糖尿病、心疾患、テンカンなど大事な既往症です。 尿管結石などは癖になって発病しやすい病気です。 『虫垂手術済み』はよいですが、 『虫垂炎あり』だけでは困ります。 アレルギーのある患者については、アレルギーの原因を出来るだけ詳しく聞き出してください。どんな植物か、どんな薬剤によって発生したのかを明確にしてください。

8.医薬品の種類、手持ちの薬剤名と量

医療箱とは、船員法施行規則で定められている衛生用品(医薬品等)のことであり、甲種、乙種、丙種、丁種の4種類があります。最近は乙種医療箱を積載 している船からの医療相談が最も多いのですが、リスト以外の薬剤も若干準備している船があるので、使用されそうな薬剤があれば名前と1錠当りのミリグラム数、錠剤か注射の区別と、手持ち量を知らせてください。 『内服は○○が△△錠、注射は□□が◇◇アンプルあり』 との連絡があれば、使用法などにより明確に指示できます。  なお、船舶に備え付ける医薬品及びその他の衛生用品は、国土交通省が監修する『日本医療便覧』または『小型船医療便覧』をご覧ください。

 9.船の位置(通信時の現在の位置)
10.航海方向、次の入港地と予定日

この2項目については、 洋上救急往診や緊急寄港や下船、入院のことを考えて指示する場合に必要になります。大事を取って、直ぐ入港を勧める場合もありますが、実際の入港までに7日も10日も掛る事を考え併せてもらえば、別の指示に変わる可能性があります。『緊急に入港しても何日後の○○港しかありません』と分かれば、なんとか内地に寄港するまで今のままで航海を続ける指示になるかも知れません。 もし患者の状態が重症であり、洋上の救急往診を依頼する場合については洋上救急(医師の洋上往診)の要点(P21)を参考にしてください。

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患者に何を聞くのか?

前節のところで説明した『現在の症状、与薬、注射、処置内容、質問の内容』などを読み返せば自然と理解できると思いますが、今一度整理してみましょう。

  1. 今までにかかったことのある病気には、どんな病気があるか
  2. 今の症状は何時頃から、どこに、どんなふうに現われたのか
  3. それに対して本人はどうしたのか、そしてどうなったのか
  4. バイタル・サインはどうなのか(特に睡眠、食欲、排泄も)
  5. 今一番つらい事は何なのか

このように聞き出してください。
特に注意を要する症状について以下に説明します。

痛み

場 所身体のどの部分にあるのか、表面か、奥の方か。
強 さどのような痛みか。キリキリ、ズキズキなど。
ひびき何処へひびくのか。放散痛と言う。
時 間どのくらいの時間続いたか。一時だけなのか。
変 化押した時、痛みが強くなったか、弱くなったか、押した指を離した時に痛みは強くなったか。
                

しびれ

感覚が麻痺の時と、 ビリビリと強い時と、運動の麻痛か、『しびれる』ではなく、麻痺か、敏感かをご確認ください。

しこり(腫れもの)

場所、大きさ、硬さ、色、熱、膿の有無、痛みを伴っているのか。

咽頭、 喉頭、 呼吸器系の病気の時に現われるので、コンコン、 ゴホンゴホン、 犬の吠える声のような場合もある。

喀血

色と回数、 においに注意。 血液が混じると鮮血になる=喀血  

血を吐く

吐血  食道や胃からの出血でどすぐろい血液を吐く。 喀血  気菅や肺から咳と共に鮮やかな色の血液を吐く。

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めまい

低血圧の場合、高血圧の変動時などに訴える。内耳の疾病。

耳鳴

耳の病気と低血圧の場合などに訴える。 その他、眼、耳、鼻孔、手足など一対あるものは、左か右を明記してください。

歯牙

どの歯であるかを示す必要があります。 その現わし方は次の図のように、患者の口内を正面から見て歯並びの中央に十文字を書いて考えてください。
歯列にはこの十文字で左右上下と4つに分けられます。4つの歯列のそれぞれの中央に近い歯を1番の歯として中切歯(第1門歯)と言う。
それから両方の外側へ向かって2、3…番と数えていきます。
一番奥が8番の歯となります。つまり成人は32本の歯をもっている事になります。

1:中切歯    2:側切歯     3:犬歯   4:第1小臼歯   5:第2小臼歯 6:第1大臼歯  7:第2大臼歯   8:第3大臼歯


上の様な歯の名前では長すぎるので、表現するのには『左上6番の歯』とか『右下8番の歯』と言うように書いて下さい。 患者にとっての左右です。
今までにあった歯の痛みの例では、齲歯(うし)による歯齦炎(しぎんえん)と歯肉炎、歯周炎または歯槽膿漏が多く報告されています。

身体各部の名前は


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腹部には色々な分け方があります。下図の上(A)のように4つに区分することもあります。しかし、これでは大まかすぎるので下(B)のように分けた方がわかりやすい。境目は厳密なものでなく、大体の位置と考えて下さい。

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肛門部周囲の病変の位置を示すには、図の様に時計の文字盤を肛門を中心に当てがい、 12時を陰嚢の方向に向けて、「何時」 に病変が有るかを見て、 肛門からの距離をセンチメートルで現わしてください。 例えば 「8時6センチに赤色のある腫れ物あり」 と言うように表現すればいいのです。