11隠岐古典相撲大会 隠岐の島 西郷港船員ほけん 2025 .1. 2「隠岐の島町」が誕生した 20 周居竣功奉納として、同神社境内に土俵を特設して「第 1 回隠岐古典相撲大会」を開催した。以後、島の大きな行事に合わせ開催し、今回が 15 回目となった。古典相撲の開催は不定期で、神社の屋根の吹き替えや重要な社屋の建て替えなどの機会に行われる。今回は、旧 4 町村が合併し年の記念祝賀大会であった。古典相撲は、隠岐の人々にとって重要な意味を持つ行事である。島中の多くの男性が参加した経験を持ち、老若男女問わず行事に何らかの関わりを持つ。力士たちは、各集落の威信をかけて戦う、島上げての行事となっている。今年、開催されたのは、9 月 14日、15 日の二日間。島への交通は、古典相撲に合わせて帰郷する人や観光客により、フェリーも航空機も満席、ホテル、旅館、民宿も満室で、島中が空前の賑わいを見せていた。例年であれば、既に秋の気配がする季節だが、今年は、まだ気温が 30℃をはるかに超え、夏真っ盛りといえる暑さで、青い空には、真っ白の入道雲が浮かんでいた。人々は、暑さの中、熱のこもった相撲観戦となり、白熱した取り組みが展開された。古典相撲大会は、夕刻に神事から始まり、土俵が清められ、行事口上、顔見せ土俵入り、割(わり)相撲と続く。結わい事があった集落を「座元(ざもと)」、それ以外の地域を「寄方(よりかた)」と呼び、座元対寄方の対抗戦である。割相撲では、相撲経験のない人も含め、多くの島人が参加し300 組にも及ぶ取り組みが行われる。学生、学校の先生、役場の職員、商店主、漁師、農家など、多種多様の職種の方々が参加する。この割相撲は、余興などを挟みながら夜通し行われ、日の出頃から、各集落の代表である役力士が取 り 組 み を 開 始 す る。 正 五 番(しょうごばん)勝負、番々外三役、番外三役と続き、正三役の取り組みは、日が高くなった頃である。クライマックスは、大関の取り組みだ。三役力士を輩出した家には、幟(のぼり)が立てられ、当日は、化粧まわしを締めた力士が、人々に囲まれながら町役場前に作られた特設「土俵」まで行進する。特に大関に選ばれることは、島の男性にとって最高の栄誉であり、末代までの誇りとして語り継がれることになる。
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