船員ほけんVol.740
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11網走港網走キネマ館船員ほけん 2025 . 3 . 4道東観光開発株式会社網走流氷観光砕氷船「おーろら」れている。主演女優は、吉永小百合さんであり、健さんと合わせて、昔からの映画ファンには、懐かしさを感じさせる設定である。筆者が「網走」と聞いて思い浮かぶのは、「流氷」である。網走の冬の観光で最も人気があるのは、網走流氷観光破氷船「おーろら」に乗ってのオホーツク海クルーズだろう。みなと観光交流センターの 1 階に乗船券売り場があり、海に面したデッキから乗船する。約 1 時間の航程で、船体で海一面に広がる氷の塊を押しのけながら進む。運が良ければ、流氷に乗るアザラシや幅 2 メートルにもなる翼を広げて飛ぶオオワシやオジロワシの姿を見ることもできる、冬のオホーツク海でしか体験できない魅力的なクルーズだ。今年の「おーろら」の運航予定は、1 月 20 日~ 3 月 31 日(予定)までで、機会があれば是非とも乗船していただきたい。ただ、近年は、海水温の上昇により、流氷の着岸が安定していないのが難点だ。季節に関わらず流氷を見てみたいという方には、市街を見下ろす天都山にオホーツク流氷館がある。流氷館には、本物の流氷が100 トンも持ち込まれている。マイナス 15℃の室内で、実際に流氷に触れることができる。また、朝夕の光景やオーロラを再現し、オホーツク海の不思議さを堪能できる。流氷の海中を映像で見る「流氷海中ライブ」は、360 度 で撮影した迫力のある映像で、極寒のオホーツク海をまるでダイビングしているかのような疑似体験をすることができる流氷三昧の施設である。さらに展望台からは、オホーツク海、網走湖、能取湖(のとりこ)、濤沸湖(とうふつこ)、藻琴湖(もことこ)から知床連山まで、四季折々、雄大な景色を見ることができる。網走と言えば、「網走番外地」。日本男児の代名詞のようになった「健さん」、前述の高倉健さんの出世作。原作の伊藤一氏の網走刑務所での服役体験から作られた小説で、映画の舞台は、網走刑務所だった。1959(昭和 34)年に日活で映画化されたが、1965(昭和 40)年に東映が健さんを主演にしてストーリーを変え、大ヒットとなった。網走番外地シリーズ10 作、新網走番外地シリーズ 8作が製作されている。番外地とは、網走刑務所が本来あった場所の住所が、「網走市三眺官有無番地(あばしりしさんちょうかんゆうむばんち)」であったことに由来するらしい。また、世間から隔絶された場所という意味も込められているようだ。網走の地名は一躍、日本中に知れ渡ったが、刑務所の町のイメージが定着してしまった。そのイメージを逆手にとり観光地化したのが、1983(昭和 58)年に開館した「博物館網走監獄」である。この網走監獄は、旧網走刑務所の歴史的建造物 25 棟を移築復

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