公益財団法人 網走監獄保存会 博物館網走監獄公益財団法人 網走監獄保存会 監獄食堂6 棟が登録有形文化財となった。に 送 り 込 ん だ。 網 走 監 獄 は、12元した野外博物館である。建物の多くは、19 世紀後半から 20 世紀初頭に建てられたもので、2016(平成 28)年には、このうち 8 棟が、国の重要文化財に指定され、多くの木造建築物が残っていることも目を引く。網走監獄は、北海道開拓に重要な役割を果たした。明治初期、ロシア帝国の南下、北海道への侵攻を危惧した政府は、北海道の開拓を急いだ。しかし、極寒の地で働く者は少なく、そこで、北海道に集治監(しゅうちかん)※ 2 を置き、反乱を起こした不平士族などの囚人を労働力として使うため1890( 明 治 23) 年 に 開 設 さ れ1200 人の囚人が、旭川と網走を結ぶ道路建設にあたり、163 キロメートルを約 8 か月で完成させている。そのほか、鉄道敷設や農地開拓にも囚人が動員されていた。北海道開拓には、屯田兵や入植者の活躍を支えるように囚人の力が使われていたのだ。博物館の中では、当時の囚人生活や北海道開拓の様子が分かる展示がされている。風雪に耐えて 100 年を超える年月に耐えた木造行刑建物群である。放射状に設置された 5 棟の舎房は、合わせて 226 房の独居房や雑居房があった。舎房の廊下には天窓が付けられ、美しい空間を作り出している。しかし、その中での過酷な生活を想像すると感慨深くなる。博物館の入り口近くにある「監獄食堂」では、現在の網走刑務所の受刑者が食べているメニューを「監獄食」として提供している。ご飯は、米 7 割、麦 3割であり、みそ汁、焼き魚、総菜が付く、健康に留意したもののようだ。網走は、四季折々の魅力がある街である。春から秋まで、野の花が咲き乱れる原生花園も近い。夏の網走も良い。涼しい気候に海風が心地よい。さらに、新鮮な魚介類が堪能できる。歴史も自然も文化も魅力が尽きない町である。 (※ 1)「ビート」または「砂糖大根」と呼ばれる作物。砂糖の原料となり、国内では北海道だけで栽培される。甜菜(てんさい)から作られた砂糖は甜菜糖と呼ばれている。 (※ 2)明治時代に設置された囚人の収容施設(監獄の一種)。北海道には 1881(明治 14)年に樺戸(現月形町)、1882(明治 15)年に空知(三笠市)、1885(明治18)年に釧路(標茶町)、1891(明治 24)年に網走、1893(明治 26)年に十勝(帯広市)に設置された。
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