> ゜)))彡〈アユの一生〉> ゜)))彡〈アユの縄張り〉> ゜)))彡〈産卵〉16おさかなマイスター認定№0083 田口 成子おさかなマイスター認定№0083 田口 成子かぐわ料理研究家川の水がぬるみはじめると釣り人には、待ちこがれたアユ釣りが解禁です。年魚とも言われるアユは、海と川で生活し、古くから日本人に親しまれています。秋に川の中流の下端部で産卵し、卵が孵化すると仔魚(しぎょ)は海に下ります。この時期の仔アユは体内の栄養分だけで生活します。冬の間は河川よりも温暖な海で過ごしますが、河口から数キロメートルの浅い海で主にミジンコ類を餌にします。3 月中旬までは、河口に集まり塩分の低い汽水域でしばらく過ごし、河川と海の水温が同じくらいになると川に上ります。この時のアユの大きさは 6 ~ 7 センチ位です。川を遡上するきっかけは、アユ自体の大きさだけでなく、水温、水流の強さ、音、光といった自然条件など、様々な要因が関与しているようです。川に上り始めるとアユの体に変化が現れ、唇が柔らかく、歯が櫛のように並び、岩石の上の藻類を剥ぎ取るのに適しています。餌も動物性から植物性に変わります。夏はアユの成長期で、流れの速い瀬には藻が多く付き、新鮮な藻を好んで食べ、体はみるみる大きく成長します。河川の中流~上流に棲みつくと一定の範囲内を活発に行動し、他のアユが近寄ってくると背びれを立て、胸ビレを振り、口を開き、激しく追い払います。いわゆる縄張りアユ(※ 1)で体は大きく、離れても同じ場所にすぐに戻ってきます。産卵のために川を下ります。産卵期は 8 月下旬~ 12 月下旬で、最盛期は 10 月下旬頃です。その頃のアユは、雌雄ともに婚姻色を呈し、サビアユと呼ばれます。アユやサケ類は産卵場内に産卵床を作るのが特徴です。深さ 20 センチ前後、直径 30 センチ位の川床を掘ったように作ります。産卵を終えたアユの大部分は一生を終えます。第 4 話魚を食べ続けたい私たち芳しい魚、アユ
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