10竹富町には、島の人の住む島がある。竹富町は、琉球王朝時代に八重山地方の行政の中心地となっていた。島内には赤瓦屋根の民家が立ち並び、白砂の道やサンゴが積み上げられた石垣、家を囲む屋敷林など、昔ながらの集落の景観が残されている。島の民宿に泊まると、早朝、サッサッと白砂が掃き清められる音が聞こえる。これは島人の一日の始まりの行事である。現在では、島を訪れる観光客へのおもてなしの気持ちが込められている。これらの琉球地方特有の島文化を感じさせる街並みは、1987年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、地域で暮らす人々が主体となり保全活動が続けられている。竹富島のある竹富町では、観光を通じて地域の活性化を図る「竹富町観光振興基本計画」が策定されている。この計画では「島の個性を保全・継承する持続的な観光まちづくり」を目標としている。竹富町の島々は個性が際立ち、それぞれ独自性が強く表れている。例え ば、西表(いりおもて)島は、ユネスコの世界自然遺産に認定され、自然の豊かさを活かした環境保全の島である。小浜(こはま)島は、リゾート開発が進められてきた。黒(くろ)島は、肉牛の島として知られ、住民数よりもはるかに多い牛が飼育されている。竹富島は文化の面での独自性が際立っている。竹富島へ行くのは、石垣島離島ターミナルからフェリーで約15 分、 フ ェ リ ー は 2 社 が 運 航し、便数も多いので身近に訪れる竹富島フェリーターミナル東海大学海洋学部教授山田 吉彦竹富島(沖縄県八重山郡竹富町)
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