船員ほけん743号
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10宗像大社は、古代から国家鎮護、海上安全の神として崇められてきた。アジア大陸と日本をつなぐ道(海路)を導く神として「道主貴(みちぬしのむち)」と呼ばれることもある。宗像大社は、三つの神社により構成されている。一宮は、沖津宮(おきつぐう)。御祭神は、田心姫神(たごりひめし、対馬経由で九州本土を目指す。対馬海流を越えたあたりに沖ノ島は浮かぶ。日本を目指す外国船の玄関だ。また、対馬海流に流され、沖ノ島に漂着した船も多かったことだろう。そのため、沖ノ島からは、中国や朝鮮半島、遠くペルシャあたりの産物や工芸品が発掘されている。この産品は、日本の文化の成立過程を知るうえで、重要な意味を持つ。古代、国家的祭祀が行われた場所で、数多くの貴重な遺物が発見されたことから、「海の正倉院」と称される。島全体が神域であり、この島からは、一切ものを持ち出すことは許の か み )。 玄 界 灘 に 浮 か ぶ 孤 島「沖ノ島」にある。朝鮮半島を発されない。さらに、この島で見たことや聞いたことを口外してはならない「不言様(おいわずさま)」という決まりがある。かつては、5 月 27 日に行われる沖津宮現地大祭の日に、200 人ほど限定ではあるが、一般男性の入島が許されたが、現在は、宗像大社の神官らを除き立ち入ることが許されない禁足地(きんそくち)となっている。二宮は、大島にある中津宮(なかつぐう)で、御祭神は、湍津姫神(たぎつひめのかみ)。宗像大宗像市 神湊港東海大学海洋学部教授山田 吉彦日本の道の神、宗像大社

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