船員ほけん743号
12/20

12場」がある。ボードウオークやシャワー、休憩場も整っているため、本土から訪れる人々に人気である。また、海水浴場の近くには、「夢の小夜島(さよしま)」など景色を楽しめる場所もある。夢の小夜島は、海中に立つ朱色の鳥居と緑の松がコントラストを描き、青い海、青い空白い雲に映えている。この島は、干潮の時には歩いて渡ることもできる。海水浴場も中津宮も、港をはさみ徒歩 10 分圏内にある。港の近くの小高い丘の上に宗像大社中津宮は建つ。神社の境内からは、海を越え、九州本土の山々を一望することができる。中津宮は七夕伝説発祥の地ともいわれている。境内を「天の川」と呼ばれる川が流れ、川をはさみ「牽牛(けんぎゅう)神社」と「織女(しょくじょ)神社」が祀られ、8 月 7 日には鎌倉時代から続く「七夕祭」が執り行われる。天の川伝説とは、唐に渡った青年が織女を伴って帰国、その後、二人は離れ離れとなった。毎日、織女に思いを寄せていたところ、ある夜、夢のお告げで、天の川にタライを浮かべると水鏡に織女が映るといわれ、以後、青年は神社に奉仕したと伝えられている。現在の七夕祭は、中津宮の境内を竹灯籠の明かりで彩る「竹あかり」が、島の内外のボランティアにより準備され、幻想的な様相を呈している。七夕祭の日は、本土からも多くの参拝客が訪れ、臨時船も運行される。また、宗像大島は、美味しい魚の宝庫だ。激しい潮流により、身が引き締まった鯛やヒラメにかんぱち、近くの海域を回遊するイカやアジ、サバなど、魚種は多く数えきれない。漁師たちの話を聞くと、近年は魚も高値で取引されるようになっているが、漁船の燃料代や漁具が値上がりして、手取りは少なくなっているそうだ。そこで、鮮度を維持したまま、本土に運ぶ低温輸送の技術の習得など、魚に付加価値をつけることを真剣に考えている。近年は、島の魚を活かした新作料理も提供している。その一つ本シリーズは今号をもって最終回とさせていただきます。月(vol.690)号から 9 年間 54 号に亘りご寄稿いただきました。ありがとうございました。「新ぐるり海道歴史散歩」につきましては、執筆者の都合により、執筆者 山田吉彦先生におかれましては、2016 年 11・12に「天然真鯛ハンバーガー」がある。新鮮な天然鯛に薄めのパン粉をつけフライにして、サンドイッチのようにバンズにはさみ食べる。 タ ラ な ど の 淡 白 な 味 よ り、しっかりとした魚の味わいがあり、とても美味しい。宗像大島には、安倍晋三元総理大臣の先祖とされる安倍宗任(あべのむねとう)の墓所がある。東北地方の有力豪族・安倍氏の一族であった宗任は、前九年の役(1051 年~ 1062 年)に敗れ、この島に流されたという。安倍元総理も何度か墓参りに訪れていたようだ。 (編集部) 天然真鯛ハンバーガーお知らせ

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る