船員ほけん743号
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14日々の健診で船員の方々から「監視のため 3 ~ 4 時間単位の交代勤務で断片的な睡眠時間になってしまう」、「機械音や揺れを伴う環境で眠れない」など様々な悩みを耳にし、睡眠に対して大きな課題があると感じています。少しでも良質な睡眠がとれ、心もからだもエネルギーチャージできれば幸いです。睡眠とは睡眠が十分とれていれば心身共に健康を維持することができますが、睡眠が不足すると、日中の眠気や疲労の蓄積、体調不良、作業効率や不慮の事故 ( 転倒・転落 ) など、心やからだにさまざまな影響を及ぼします。また、睡眠不足などが慢性化すると肥満、高血圧、糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスク、うつ病などの精神疾患などに関与することが明らかとなっています。そのため、量(睡眠時間)、質(睡眠休養感)ともに十分な睡眠を確保することが重要です。休日の「寝だめ」の問題点平日の睡眠不足(睡眠負債)を、休日に取り戻そうとする「寝だめ」の習慣がある人は少なくありませんが、実際には眠りを「ためる」ことはできません。休日の寝だめでは、平日の日中の眠気は完全には解消できず、メリットは極めて限定的との報告もあります。休日に長時間の睡眠が必要な場合は、平日の睡眠時間が不足しているサインです。平日に十分な睡眠時間を確保できるよう見直す必要があります。夜勤、交代制勤務時の上手な睡眠のとり方夜勤、交替制勤務は不眠や眠気、睡眠休養感の低下などの睡眠に関連する症状の発症とともに、勤務中や通勤中の事故や怪我などとの関連が報告されています。また、メタボリックシンドロームや心血管系疾患の発症リスクが増加することも報告されています。夜勤中のわずかな時間(0 ~ 4 時の間の 20 ~ 50 分間)でも仮眠を取ることは、眠気や疲労感を軽減し、明け方の集中力が高まり労働災害や事故などの防止につながります。睡眠時無呼吸症候群睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の呼吸が停止する睡眠障害で、閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸に分けられます。睡眠時無呼吸の多くは閉塞性睡眠時無呼吸で、睡眠中に気道が狭くなることで呼吸がしづらくなり、血液中の酸素が不足します。酸素不足になると覚醒し呼吸は再開しますが、再び眠りにつくとまた呼吸が停止します。これを夜間に繰り返すため、実睡眠時間が減少するとともに深い睡眠が減少し、日中の眠気や居眠り、睡眠休養感の低下、不眠などの症状が現れます。日中に眠気がある、集中力・記憶力が低下する、家族や同僚にいびきを指摘されるなど症状が気になる場合は、病院 ( 呼吸器内科、睡眠外来など ) で相談、検査を受けましょう。船員保険大阪健康管理センター 保健師 宮田 美希代しっかり眠れていますか? ~睡眠の上手な取り方~健 康 広 場

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