おさかなマイスター認定№0083 田口 成子おさかなマイスター認定№0083 田口 成子暑さが少しずつ落ち着き、日を追うごとに魚や野菜、果物の味覚を楽しめる季節に変わってきます。脂がのってくるマサバ、サンマ、マイワシなど青背の魚が美味しくなります。塩を振っただけの塩焼きの魚と新米で、その美味しさを味わいたいですね。縄文時代から食べられていたサバですが、平安時代には石川県北部、高知県、福岡県などが名産でした。生では腐りやすいサバは塩を振り、塩サバに加工されて運ばれ、海から離れた地域の人にも喜ばれていました。貴族から庶民まで食べられていたそうで、祭りや祝いの供物として用いられていました。室町時代には、若狭の国(福井県)と京都との交流も盛んになりました。若狭湾沖合で豊富な魚が獲れ、朝廷へ送る海産物の代表的な物の一つがサバでした。鮮魚の入手が難しかった京都の人々も生の物に近い魚を食べたかったようです。若狭から京都までは 72㎞。若狭で水揚げされたサバに塩をしっかり振り、京都に着くころには塩が程よく全体にまわり、これを酢じめにしました。このサバを運んだ街道を鯖街道と言います。鯖街道には他に小浜から琵琶湖の水運を経由して京都に運ぶルートもありました。若狭熊川宿は、当時の街並みが今も残されていて平成 8 年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。この街道筋にはサバずし、焼きサバ、サバのへしこ(糠(ぬか)漬け)の製造、販売をしている店があります。かつては小浜で大量に獲れていたサバも、現在は水揚量が減少しています。京都の夏祭りの祇園祭には、ハモ料理とサバずしは⽋かせないようですが、店により独自のサバずしがへしこ> ゜)))彡 <古くから食べられていたサバ>> ゜)))彡 <鯖街道>> ゜)))彡 <京都と各地方のサバずし>16料理研究家第 6 話魚を食べ続けたい私たちこれから美味しい サバ
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