船員ほけんVol.746(2026年3・4月号
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12SOXAI Ring 1共同温泉「熱の湯(ねつのゆ)」(2階は集会所)気分になる。会員は入り放題ゆえ、朝昼晩に湯に通う強者もいる。共同温泉では男女湯の仕切り壁の上がつながっていることも多い。それぞれ数人ずつの収容人数だが、女湯はまず賑やかである。男湯ではみな黙々と入る。で、壁の上から笑い声が降ってくる。だいたいはシャワーが無く、浴槽から桶で湯を汲み身体を洗う。よって浴室中央に鎮座する浴槽の周りにぐるりと人が座ってシャンプーやら石けんやらで身体を洗う。多くは右手で湯を汲むために浴槽に対して左向きに座る。人々が等間隔で一方向にぐるりと浴槽を囲む情景は見ていて面白い。共同浴場では洗い場と脱衣所の仕切りがないことも多い。洗い場から自分の衣服や荷物が見えるため防犯になり、着替える際も寒くない。江戸時代の風呂屋の絵では、石榴口(ざくろぐち)の蒸し風呂の手前に、洗い場と脱衣所が一体となって描かれている。別府では今もこの方式が見られる訳である。(※石榴口とは、江戸時代の銭湯の、洗い場から浴槽への出入り口) 筆者が別府でよく訪れるのは幸温泉(さいわいおんせん)である。ごく少量の重曹と塩分とを含む薄い単純温泉なのだが、ここに入るとその夜は実によく眠れる。保温効果をうたう塩化物泉や血行促進する硫黄泉などがより眠れそうなものだが、筆者自身の実験では「睡眠」には薄めの湯の方が良いようだ。体感でもそうであるが、指に装着する「SOXAI Ring 1」でも同じ傾向が出ている。このリングは指輪型のウェアラブルデバイスで、心拍数、血中酸素濃度、運動量などが測れて睡眠やストレス状態などの評価値がスマートフォンに表示される。私は一年以上装着しているが、リングは重量 3グラムと軽く 24 時間装着しても気にならない。ようやく常時装着可能なデバイスが登場したと感じている。すでに普及の進むスマートウォッチタイプも十年ほど使っているが、これは睡眠時や入浴時には外したくなる。試しに着けて床に入ってみたものの寝苦しくて外してしまった。自宅から共同温泉に向かう人は一目でわかる。洗面器や入浴カゴを持っている。パジャマのようなラフな格好でも洗面器を持っていれば「ああ温泉の帰りか」と許される。別府は寛容な町で、みな穏やかで愛想も良い。温泉に入れば人間は体調も機嫌も良くなる。潮風に吹かれて心地よさそうな湯上りの人を見て、この町に住みたいと私は 30 才で東京から別府に移住してしまった。

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