船員ほけんVol.749(2026年9・10月号)
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温泉散歩ぐるり海道温泉散歩温泉散歩ぐるり海道温泉散歩ぐるり海道10温泉冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」新潟県は長い。海にべったりと弓型に張り付いているかのような形である。前回の北海道と比べるべくもないが、北東から南西に細長く、県内の両端に位置する村上市から糸魚川市までの移動は車で3時間、電車で5時間かかる。上越新幹線、北陸新幹線という「交わらない2つの新幹線」が通る稀有の県でもある。一方で東京からは意外と近く、2時間もあれば新潟駅に着く。名古屋に行く感覚である。その新潟であるが実に個性的な湯がそこかしこから湧いている。正統派の名湯も数多いが「奇湯・珍湯が好き」という向きには特に新潟はおススメである。今号ではバラエティに富む新潟の湯を紹介したい。新潟で海と縁が深いのは瀬波温泉である。日本海に面し、海に沈む夕日を眺めながら温泉に入れる宿も多い。海を西にみる温泉地の特権である。太平洋側で育った筆者は、初めて見た日本海の藍のような深い色に驚いたものである。村上市にある瀬波温泉は正統派の塩化物泉であるが、泉温が90〜95℃と高温で、冷却のために「湯雨竹(ゆめたけ)」という装置を導入している宿がある。もともと塩田の塩づくりの装置であるが、別府の温泉施設と筆者らで温泉冷却用に新たに開発し、現在は全国で60台ほど稼働している。加水なしで冷却できるため、源泉かけ流しを実現できる装置である。この開発ストーリーはあらためて別の機会で紹介したい。村上から新潟に海沿いを南下すると、お寺のような外観に「親鸞聖人」の大きな像が立つ施設が見えてくる。浄土真宗の開祖は時の政権の弾圧(念仏停止)に遭い、越後に流されたことに由来するのだろう。その敷地内にある「西方の湯(さいほうのゆ)」は、なんとも不思議な芳香で知られている。一瞬、浴室ではない場所に来たか?と思わせるようなアンモニアの香り、それに海のような臭素の香りとヨウ素臭が混ざり合い、唯一無二の湯の香を生み出している。珍湯の中の珍湯と言ってよい。黒っぽい見た目と、強い塩味の湯はなんとも個性的で、この湯のトリコになる温泉愛好家も多い。もう少し南下し、新発田市に移動する。このエリアで外せないのは月岡温泉である。月岡は大正時代、石東海大学人文学部 学部長・教授(海洋環境・温泉観光文化・地域振興研究者)斉藤雅樹第5回 「新潟の温泉」

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